雇用流動化=世界の常識? [政策]
「雇用の流動化はグローバルスタンダードだ」
この京都でも「正規雇用は時代遅れの考え方」と発言する議員がいたりする。
その背景にある思想は財界の方々の提言のなかにある。
いわく、
「日本の企業は正社員が多すぎる高コスト構造にある。これでは国際競争に勝ち残っていけない」
「雇用の流動性を高め、企業の負担を減らすことが肝要」
政治は長きにわたってこの路線を支持し、
国会は労働市場の規制緩和に資するかたちで多く立法権を行使してきた
(そういう法律をいっぱいつくった)。
その路線は今も変わっていない。
安倍首相の掲げる「再チャレンジ」も言葉づらで捉えるなら
不安定雇用の是正に聞こえるかもしれないが、
施策を仔細に検討するなら、
上記のような流動的で不安定な雇用市場の中での再チャレンジでしかなく、
まったく財界の路線のままだ。
では、「日本の高コスト構造」という前提はどういう数値によって表されているか。
「日本の」と言うからには「世界と比較して」どうなのかが問題である。
ここに一つだけ比較をあげておく、
パート労働者比率 米13.2% 日本26%
日本が特別「正社員が多く、世界標準からみて異常」なわけではないような気がしてくる。
(日本で言う「グローバルスタンダード」は実は「アメリカンスタンダード」であることが多いのだし、いい比較だと思う。)
素直に数字を読めばすでに十分流動的な雇用が多い。若年層、女性ではその比率が格段に高いのはご承知のとおり。
もう一つ数字をあげておく。
非正規雇用賃金の正規雇用賃金に対する割合
日本では'90年 45%⇒'95年 43%⇒'04年 41%
年々格差が拡大しているのがわかる。
またスウェーデン 87%、ドイツ 82%、米 54%。
この数字を見れば、諸外国と比べて低いことがわかるだろう。
非正規雇用率が高く、その上その賃金は正社員に比べて相当に圧縮している。
「コストはすでに相当低いのではないか。」
そう考えるのが自然だろう。
「日本は高コスト構造で世界から遅れている」
あんまり簡単に信じてはいけない気がする。
(OK)
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不安定雇用がグローバルスタンダードだと思っている人も多い、
という現状にぶつかることが多く、このエントリー書きました。
次は「雇用の安定は政治が果たすべき責任なのか?」
という話にも突っ込んでみようと思います。
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