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ワーキングプア2 [書評]

週刊東洋経済の9月16日号が「日本版ワーキングプア」という特集を組んでいたので、遅ればせながら読んだ。製造業の現場での請負労働者と外国人労働者の実態に迫った内容で、工場労働の経験のない私は興味深く読んだ。1日12時間労働で6勤1休(もしくは2休)で働くというのはどんなものなのだろう。それで年収300万、しかもこの額がずっと固定ではまともに子を育てていくなどという展望は描きようがないだろう。そしてそういった労働が日本の製造業の現場を支えているとのルポ、ほんとにこれでいいのだろうか、との思いを強くした。

読みながら労働組合の力を大きくする必要性を思っている。

特集記事も請負業界の健全化が必要としながらも、結局は「大企業トップの決断を迫る」と結んでいる。
しかし、それは認識が甘いのではないか。
国際競争力強化のために安価な労働力を求める大企業の欲望はとてつもなく大きい。
政策的規制のほとんどない現在の日本において、メーカー企業が、製造業の現場の弱体化を避けるためという長期的目標のため、「労働の健全化」を志向する可能性は低いと思う。
正社員の請負・派遣労働への置き換えという安易なコストカット術により短期的利益を確保することへの誘惑のほうがはるかに大きいからだ。

だとしたら「労働の健全化」が前に進むか否かは、「企業の社会的責任」を追及する労働者自身の声をいかに大きくするかに多くはかかってくるのだろう。

決して簡単ではない課題である。

しかし、その際も次の点を見ておきたい。

この特集は記者が「目の前の現実」のひどさに触れることで、
このままでいいわけがないとの正義感に火がつき、書かせたものだと読める。
ジャーナリストとは本来そういうものである(「ジャーナル」とは「日々のこと(=目の前のこと)」という意味である。)。

逆にいえば、実際に起きていることは「このままでいいわけがない」と誰しもに思わせるようなところまで来ている。現実のなかにこそ多くの人が声をあげる可能性が含まれている。「このままではダメ」から「ならば変えよう」まではあとちょっとだ。


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コメント 1

おおかいと

私もその記事は読みました。
外国人労働者を巡って、地域社会をも巻き込んだ様々な矛盾が
詳細にレポートされていたのが印象的です。
大企業は「飽くなき利潤追求」のため、人件費抑制を進めてきましたが、
他国の労働者と日本の労働者を「低賃金」で競争を強いているのが
実態だと思います。国民の間の「格差拡大」を意図的に作り出しながら、
「再チャレンジ」と称し更に自己責任をかぶせて競争を煽る。この国の権力者がやることに、私たちは警戒しながら行動しなければいけませんね。
by おおかいと (2006-09-25 05:27) 

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